【哲学】ニーチェとは何者か? 【早すぎた天才の生涯をわかりやすく解説】

ニーチェ画像 💭 philosophy

ニーチェは言った。

「私が語るのは、次の2世紀の歴史である。」

-フリードリヒ・ニーチェ『ツァラトゥストラはこう語った』-

この「次の2世紀」とは、
まさに私たちが生きる20世紀・21世紀のこと。
ニーチェはすでに、未来を生きる私たちに警鐘を鳴らしていました。

この記事は、ニーチェについての【三部作】のうちの第一部。
今回は、彼の思想を知るために欠かせない

「ニーチェ自身の生涯」をたどっていきます。

ニーチェは強いです。
その強さが思想にも表れています。
そしてその生きざまにも出ています。

目次

ニーチェの生い立ちと若き天才時代

1844年、ドイツの小さな町で、ひとりの男の子が生まれます。
牧師の家に生まれた彼の名は、フリードリヒ・ニーチェ。

幼いころから、ニーチェの頭脳は異常でした。

語学力、洞察力、読書量――すべてがケタ違い。
周囲の大人たちは、ただ呆れるしかありませんでした。

リアル名探偵コナン。
見た目は子ども、頭脳は天才。

24歳でスイス・バーゼル大学の教授に就任。
当時としては破格の出世スピードでした。

このまま順風満帆な人生が続く――
かに思えましたが、現実はそう甘くなかったのです。

挫折と苦悩の日々

教授となったニーチェを待っていたのは、孤独でした。

彼の授業に足を運ぶ学生はわずか数人。
その難解な思想は、誰にも理解されなかったのです。

さらに体調も悪化。
慢性的な頭痛、視力障害、そして失恋。
絶望の中で、自殺を考えた夜もあったといいます。

30歳を迎える前に、ニーチェは教授職を辞任。

社会的地位も、安定した生活も、すべてを手放しました。

それでも、ニーチェはペンを握り続けます。
そして、後に「人類への最大の贈り物」

とまで語った一冊を書き始めるのです。

――『ツァラトゥストラはこう語った』。

『ツァラトゥストラ』という作品

『ツァラトゥストラ』は、
小説のようであり、哲学書でもありました。
主人公ツァラトゥストラは、
(※ゾロアスター教の開祖ザラスシュトラのドイツ語読み)

孤独な旅人。
山籠もりの末、知恵を得て、世界に語りかけます。

ツァラトゥストラとは、ニーチェ自身の分身でもありました。

彼はこの本に、全身全霊を込めます。
ニーチェ自身が著作について、

「人類への最大の贈り物」

「ドイツ語で書かれた最も深遠な作品」と自負し、

聖書のような存在になることを企図して、
物語風に仕上げたそうです。

ここまで綺麗にフラグを立てているのです。

現代の私たちならもう気づきましたよね。

そうです。

著作は大爆死。

更に『ツァラトゥストラ』は4部構成でした。

一部が売れず、四部作すべてが世に出た頃には、

知り合いに「どうかもらってくれ」と頼み込む始末。

その後に書く本もほぼ
『ツァラトゥストラ』の補足を続けるようなものばかりでした。

でもなぜそんな自信作が理解されなかったのか?

それは、彼が語ったのが「次の2世紀」のことだったからです。

当時の人々には、ニーチェの思想は早すぎたのです。

しかし、時代はようやく、補足本のおかげか

彼に追いつき始めます。

 

晩年の再評価

1889年、ニーチェはイタリア・トリノの街角で、悲劇を迎えます。

ニーチェの精神が壊れました。

馬が鞭で打たれる姿に心を痛め、その馬に駆け寄り、泣き崩れ、

そのまま気絶をしました。

意識は戻ったものの、
二度と筆を執ることはありませんでした。

けれど、皮肉なことに――
この時から、彼の著作は売れ始めます。

『ツァラトゥストラ』が読み継がれ、

「ニーチェ文庫」という出版社まで設立されるほど。
ニーチェ本人はその成功を知ることも、喜ぶこともできないまま、

1900年、55歳で静かにこの世を去りました。

彼が生きている間に花開くことはありませんでした。
しかし、ニーチェがまいた種は、時代を超えて芽吹いていくのです。

ニーチェの生涯から何を学べるか

ニーチェの人生は、挫折と苦悩に満ちていました。
それでも彼は、絶望に飲み込まれなかった。

彼はこう語っています。

たった一度でいい。

本当に魂が震えるほどの喜びを味わったなら、

その人生は生きるに値する。

精神を壊す数か月前、

自叙伝『この人を見よ』にこう記しました。

どうして私は、私の全生涯を感謝せずにおれようか。

彼の人生を彼自身は、
失敗も挫折も含めて感謝しているのです。

ニーチェの心の強さは思想にも表れています。
その思想を次回は扱っていきます。

(次回予告)

次の記事では、ニーチェの著書
ツァラトゥストラにさらに深く迫っていきます。

どうぞお楽しみに。

 

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